祈ることしかできないけれど

この季節がやってきたぜ!ということで今年もぽっぽアドベントに参加します。ぽっぽアドベントについてはこちらから。
 
今年は「私の望みの歓びよ」をテーマに、皆さん思い思いに素敵な文章を綴られているので、チェックしてどんどん感想呟いてくれよな!私は19日担当です。ふぅ、間に合ってよかったぜ。
さりげなく1回目・2回目と皆勤賞なので、以前書いたエントリもよろしければご覧ください。
◇2019年 シネマ歌舞伎『野田版 桜の森の満開の下』について
 
◇2020年 嵐・相葉くんについて
 
さて2021年の私は
ハロプロアンジュルムにハマった途端推しの卒業が決まり、見届け、燃え尽きていた…。
 

私とハロプロ、久々に出会う

時は遡り2020年11月頃、私は在宅勤務に飽きていた。好きな音楽やポッドキャストを聞きながら仕事できる環境はいいけど、なんだか似たような曲になってきてつまんない。聞いたことのない音楽聞きたいなあとYouTubeを彷徨っていた時に、ふとモーニング娘。'16の『泡沫サタデーナイト!』がおすすめで表示された。幼少期に『ザ☆ピ〜ス!』や『LOVEマシーン』が流行ってたし、今でも歌えるけど、最近のモー娘。ってどんなのかしらと軽い気持ちで再生してみた。
はい!チャプターしてるから再生して!画面左、ブルーの衣装を着たショートカットの子!かわいいでしょ!?かわいいよね!?私もそう思って即調べた!工藤遥さん!……とっくに卒業してたよね。ちぇっ…と気落ちしたけど、この曲自体は超楽しい!いい曲!とリピート再生しながらふと気づいた。モー娘。って色んな体型の女の子がいる!女の子のアイドルといえばこちらが心配になるぐらい細い子が多いけど、モー娘。のメンバーは体型も化粧もバラバラで、でもみんなにこにこ楽しそうで、それってつまりは最高じゃん!とそこから一気にモー娘。YouTubeで聞きまくった。そして女子アイドルの「卒業」という文化を思い出し、嵐の活動休止を控えた私はアイドルとのさよならの仕方を教えてもらおうとももちの動画を見まくった。するともう関連動画がハロプロハロプロハロプロ…。まあ見るよね。色んなグループがいてみんな違ってみんないいね…とハロプロの濁流に揉まれた結果、私が辿り着いたのがアンジュルムだ!
 

強く、うるさく、美しく

私のアンジュルムの第一印象は「オシャレ」!ハロプロの色んなグループのMVやコンサート映像を見たけどいかんせん衣装が「お、おう……」としか言えないものもまあある。(ずっと嵐を応援していたので…慣れてはいるが…)なのでこの『泣けないぜ・・・共感詐欺』を歌うアンジュルムの衣装を見たときは衝撃を受けた。

アイドルの衣装といえばお揃いか、お揃いだけどメンバーによって色や形を少し変えたデザインのものが多い中、この映像の衣装はスタイリングも色もみんなバラバラで、でもメンバーの個性が見えてみんな似合っているしかっこいい!莉佳子なんて虎背負ってるぜ虎!

現在は卒業して自身のアパレルブランドを立ち上げたりなぷー(元メンバーの勝田里奈)がスタイリングを担当している影響も大きいと思うけど、メイクもいわゆる「アイドル」感とは違う、くっきり引いたアイラインや真っ赤なリップが印象的だった。アンジュルム、かっけーじゃん。

 
そしてアンジュルムにはもう一つ、王道のアイドルとは少し違う部分があった。
すげー、うるさい。
新しく加入したメンバーに「加入して一番驚いたことは?」と質問したら「騒がしいと聞いていたけど楽屋がすごくうるさい」「先輩がうるさい」と言われるぐらいにはうるさい。本人たちも自覚があるし、動物園と呼ばれるぐらいうるさい。
でもね、楽屋がうるさいってことはみんなで騒げるぐらい仲が良いってことなんですよ。毎年夏にみんなで海へ遊びに行ったり、遊園地行ったり、アンジュルム全員で仕事すると超楽しかった!大好き!ってすぐブログに書くし、もうね、そんなのね、好きになっちゃうよね……。
別に仕事仲間だから仲良しこよしする必要はないけど、家族や友達より長く過ごすんだから仲が良いに越したことないじゃん?そして私たちオタクは仲良くしてるメンバーを見ることでしか得られない養分を吸う生き物じゃん!?ってことですっかり好きになっちゃったよね。
もうそこからアンジュルムについてモリモリ調べたし、楽曲も聞いた。元々はスマイレージというグループで、アンジュルムに改名してから強い女性像を打ち出した楽曲が増えたことや、卒業・加入で新陳代謝が良いグループであることも分かった。そしてふと気づいた。そうか、この子が桃奈だったんだ。
 

好きな色のリップを塗りなさい

中学生のアイドルが「リップの色が濃い」とファンや周囲から指摘を受けて「年相応を目指します」と発言したことに対し、リーダーが「これからも好きな色のリップを塗りなさい」と言ってあげた、というツイートが3年ほど前にバズっていた。こんなこと言ってくれるお姉さんがいるなんて…!と感動して覚えていたのだけど、これがアンジュルム笠原桃奈と、前リーダー和田彩花のことだったのだ。和田さんは卒業した後もアイドルとして活動し、下記のインタビューでは桃奈のリップの話やフェミニズムにまつわる話もしているのでぜひ読んでみてほしい。
そしてアンジュルムを知って私が感動したのは、素敵なお姉さんが和田さんだけじゃなかったこと。「急に薄くしすぎ、気にしすぎだよ」と言ってくれるメンバーたち、「かっさーが好きなメイクをすればかっさーの事が好きな人たちがそのメイクも好きになってくれるよ」と言ってくれる莉佳子。

ameblo.jp

髪を緑に染めてきたりなぷー。
いつもみんなでうるさくて、仲が良くて、パフォーマンスはギラギラかっこよくて、傷ついたメンバーがいたら手を差し伸べる。アンジュルムシスターフッドに溢れていた。
大好きになっちゃうでしょこりゃ!!!!アンジュルム、最高。BIG LOVE。応援するっきゃない。
嵐の活動休止から「何か他のもの熱中したい!」という思いが強かったのもあって、私は着実にアンジュルムにハマっていった。ただアンジュルムを好きになったからといって、嵐が残していったどでかい穴が埋まるわけではないということにも改めて気づいた。その話はまた今度。
 

初めての推しと、卒業と

ハマってから初めて発売されたシングル『愛されルート A or B ?』でバチコーン!と推しが決まった。
歌い出しを担当している、笠原桃奈。MVでセンターにいる彼女を見た時、「ついに桃奈の時代がきた!」と大はしゃぎした。彼女のパフォーマンスが曲の世界観にバチっとハマり、めちゃくちゃかっこいい…!17歳(発売当時)とは思えない大人びたパフォーマンスも魅力のひとつだけど、メンバーとはしゃいでいる妹感丸出しの笑顔や、アンジュルムの大型犬と呼ばれる暴れん坊っぷりなんかも相まって、んまあ〜かわいいのである。いっぱい食べて、いっぱい遊んで大きくおなり…。
もっと彼女の歌が聞きたい、パフォーマンスが見たい。これから大人になって、どんなものを見せてくれるんだろう?私はアンジュルムの未来を思ってわくわくしていた。1ヶ月後卒業発表するとも知らずに。
 
もうね〜〜〜、卒業発表をTwitterで見た瞬間、スマホ持つ手が震えたし、これがアンジュルムか!って思ったよね。上述した通り、アンジュルムはここ1、2年でメンバーの入れ替わりが激しく、分かっていたはずなのに、桃奈が卒業するなんて微塵も思っていなかった。ただこれまでのメンバーの卒業のあれこれを見ると、卒業は決してマイナスなものではないし、ブログを読んで彼女が自分と真摯に向き合って卒業を選んだことは分かった。17歳の女の子が世界で一番大好きで大切なメンバー」から離れて、「私のこれから先の人生の中で、もしかしたら最も幸せだった瞬間になるかもしれない」と思いながらも決めたこと、応援するしかないじゃんね…。
 
応援するとは言っても茶の間レベルなので、更新されるブログを読んだり動画を見たりしていたら、卒業の実感のないままあっという間に月日は過ぎ、桃奈は18歳になっていた。ハロプロではバースデーイベントという、グループではないソロのファンイベントがあり、所属グループに限らず好きな楽曲を披露したり、オリジナルのソログッズを販売したりする。私は桃奈のバースデーイベントのグッズを見て、衝撃を受けた。
生写真に書かれていた18歳の抱負は「好きなもの大切な人を見失わない」「自分が愛されていることを忘れない」。自分が愛されていることを真っ直ぐ受け止めて、言語化できる、こんないい子がいますか!?大好きなアイドルが「愛されている」と胸を張って言ってくれる。こんなに幸せなことはない。もう1ヶ月経てばいなくなってしまうのに、もっと好きになっちゃった。困るぜこりゃ。
 

たとえアイドルじゃなくても

彼女の卒業コンサートは11月15日に武道館で開催された。私はライブビューイングのチケットを取って、なんとか仕事をやっつけて見に行った。初めて見るアンジュルムのコンサート、そして推しの卒業コンサート。正直に言う、アンジュルムすんげーかっこいいぞ!!!!!
公式でコンサート本編と桃奈からの手紙が公開されているのでぜひ見て欲しい。卒業だからといって泣かせに来るのではなく、今の私たちが最強で最高なことを見てくれ!と言わんばかりのパフォーマンス、MCもほとんどせずひたすら踊って歌う彼女たちは輝いていた。そして1着目の衣装はみんなバラバラ。好きになってから1年しか経ってないけど、私の大好きなアンジュルムだ!と嬉しくてたまらなかったし、『友よ』で現リーダー竹内朱莉に笑顔で飛びつく桃奈は間違いなく私の大好きな桃奈だった。武道館にいる全員を射抜くような目をしたり、浜辺を駆け抜けるゴールデンレトリバーみたいな笑顔を見せてくれる。出会いは遅かったかもしれないけど、こんなに素敵な女の子に出会えてよかった。
 
そして桃奈からの手紙。
いつの日か、このステージに立っている今が過去になります。
いつの日か、大好きで大切な仲間がいたんだって誰かに話す日がやって来ます。
今、何にも代えられないものは、この先何に出逢っても代えられないもので、
それは過去に、未来の私の中に在り続けるんだと思います。
言葉を交わして、笑い合って、一緒に歩いて、悲しくって慰めて、
そういうすべてが今でもきらびやかでまぶしいのに、いつか思い返したときそのまぶしさに、私は耐えられるのかなと思ったりもします。 
 
正直今は寂しくて、本当はとても不安で、夜一人になると、
自分一人にどれほどの価値があるのかなって思う瞬間だってあるのです。

この言葉を聞いた時、彼女がいじらしくて抱きしめたくてたまらなかった。自分の弱さを受け入れ、理解して、素直に伝えるってとても勇気のいることで、本当に弱かったらできない。そんな彼女の強さやアイデンティティアンジュルムで培われたこと、彼女がどれだけアンジュルムを愛しているか、アンジュルム愛する人のことを愛しているか、彼女の言葉からありありと伝わってきて、泣けてしょうがなかった。自分が愛されていることを彼女は分かっていると言っていたけど、こんなに素直に愛を伝えてくれる人に、本当に返せているのかな。

 
私はアイドルが好きで、歌って踊って、かっこいい人がかっこつけてパフォーマンスをするのを見るのが大好き。だからアイドルでいることで何かを犠牲にしてほしくないし、やりたいことを見つけたらいつだって始めてみればいいし、アイドルをやめたっていい。
そう素直に思えるようになったのは嵐の活動休止から1年が経って、桃奈の卒業を経験したから。寂しくないかと言われたらそんなことはないし、やっぱり帰ってきてほしいとべそかく日もあるけど、「今この瞬間、世界で一番楽しくて幸せ!」と何度も思わせてくれた人たちに、世界で一番幸せでいてほしい。もらった愛を直接返すことはもう難しいから、私はひたすら祈り続ける。彼女の次の夢が叶いますように。
 
「心から愛しています。皆さんどうかお元気で!」と大きな投げキスをひとつ残して、桃奈はアンジュルムから卒業した。めちゃくちゃにかっこよかった。そして12月30日、新メンバーがお披露目される予定だ。アンジュルムはまた変わっていく。グループも人も変わらないなんてことはなくて、それが切なかったり寂しかったりもするけれど、「そんなふうにきっと変わっていくものを ちょっと淋しいけど僕らは受け入れてく*1変わらぬままいるなんて飽き飽きしちゃうわ*2なんて、アイドルに救われながら進み続けるしかないのだ。
 
 
さて、明日のぽっぽアドベント担当は真魚さん。何やら濃いドストエフスキーの話になりそうで楽しみ!