私とナショナル・シアター・ライブ、10年爆速振り返り

LiLyさん主催のナショナル・シアター・ライブ(NTLive)10周年記念企画 Advent Calendar 2023に参加しました!私は12/10の担当です。NTLとの思い出……と考えたところ、初年度から見てるからありすぎ!ということで10年をざっと振り返ろうと思います。
 
 
初年度2014年から2023年まで公開している全62作品のうち、見たのは30作品!半分ぐらいは見ているけど、それでも見返すとあれ見たかったな……という作品が多くて悔しい。権利関係でそう簡単にリバイバルできないものもあるだろうけど、こちらも体力と時間に限界があるんだよお。しくしく。

www.ntlive.jp

 

2014年

オーディエンス ○
リア王 ✖️
オセロー ○
 

その昔、NTLiveはチケットぴあでチケットを取っていたのじゃよ……。
フランケンシュタイン』は楽しみにしていたのに、途中の展開が嫌すぎでこれもう一回見るの?と結構凹んだのであった。初NTLive、負けた感ある。
コリオレイナス』はリバイバルを見に行こうと吉祥寺オデオンに行ったところ、途中入場できないと知りすごすご帰った切ない思い出。また負けてる。
『オーディエンス』は演劇の凄みを感じた。勉強不足で理解できていない部分も多々あったのでもう一回見たいな。
キニアさんの『オセロー』が最高に最悪すぎる。この当時、2023年現在で一番見たことのあるシェイクスピア作品が『オセロー』になるとは思うまい……。
 

2015年

スカイライト ○
宝島 ○
 
欲望という名の電車』鉄骨階段のようだけど、居住スペースであることも感じられる面白いセットが印象に残っている。ジリアン・アンダーソンの凄みよ……。
二十日鼠と人間』は見た後、日常生活に支障をきたすぐらい打ちのめされた作品。予告動画を見てはさめざめと泣き、電車の中で原作を読んではさめざめと泣き、「ウサギ」のことを思い出してはさめざめと泣いていた。ラストシーンのジョージのことを思うと今でも胸が潰れるような気持ちになる。
『スカイライト』キャリー・マリガンの“Fxxk you !!!!”に思わず暗い場内で思わずガッツポーズ。上演していたロンドンのWyndhams Theatreに行ったことがあったので始まる前からそわそわして嬉しかった。これ以降上映劇場もチェックするようにしている。
『宝島』はセットの美しさと冒険譚にワクワクした!主人公ジムを男→女に変更しているのだけど、インタビューの「この物語には女性が少ない。それって不公平よ!」という言葉にいたく感動したことも覚えている。

 

2016年

夜中に犬に起こった奇妙な事件 ○
橋からの眺め ○
人と超人 ○
ハードプロブレム ○
戦火の馬 ✖️
 

当時の感想とも言えないもの。ひどい。とにかく劇場が大きく奥行きを感じさせる豪華なセットだったけど、あまり好みの演出ではなかったな。

『夜中に犬に起こった奇妙な事件』

2015年にロンドンに見に行った『橋からの眺め』が日本語字幕で見れて本当に嬉しかった!現地で観劇した際、ステージ中央でマーク・ストロングが振り返る姿が恐ろしすぎて泣いたのだけど、映像で見てもやっぱり怖かった。ラストの血の演出は上から見ると怒涛の量にビビる。その後『オセロー』『ガラスの動物園』とイヴォ・ヴァン・ホーヴェ作品を生で見られるよ。良かったね、私。

『人と超人』は途中の怒涛の台詞のやり取りに圧倒されたけど、全部理解できなくてもいいか、と開き直れた作品であり、インディラ・ヴァルマと出会えた作品である。「最初から罠だったのよ」に心を掴まれ、もう夢中!しわくちゃの捨てられた犬みたいなレイフ・ファインズも良かった。全部手のひらの上ですよ。
 

2017年

ハングメン ✖️
深く青い海 ✖️
誰もいない国 ○
お気に召すまま ✖️
一人の男と二人の主人 ○
ヘッダ・ガーブレル ✖️
 
この年は忙しかったのとなんとか見た2作品が合わず、悲しかったな……。『一人の男と二人の主人』は演出がダメすぎてワーストである。
舞台の映像化に反対する役者もいる中、『誰もいない国』アフタートークでのサー・パトリックの言葉が心から嬉しく、強く残っている。

 

2018年

エンジェルス・イン・アメリカ 第一部 至福千年紀が近づく ○
ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ ✖️
イェルマ ✖️
フォーリーズ ○
ヤング・マルクス ✖️
 
この年も本当に忙しかったな。『エンジェルス・イン・アメリカ 』が全くハマらず教養がない人間ですみませんね……とクサクサしたのを覚えいてる。あまりにも落ち込んだので、第二部は見るのをやめてしまった。
『フォーリーズ』は当時ソンドハイムの事を知らずに見ていたので、今!めちゃくちゃ!見返したいよ!!!!
 

2019年

マクベス ✖️
リア王 ✖️
英国万歳! ✖️
アレルヤ! ✖️
リチャード二世 ✖️
みんな我が子 ✖️
 
NTL史上一番作品を公開してくれたのに、一本も見れなかった悲しい年……。
 

2020年

リーマン・トリロジー ○
フリーバッグ ○
スモール・アイランド ✖️
夏の夜の夢 ✖️
プレゼント・ラフター ○
ハンザード ✖️
 
『リーマン・トリロジー』は舞台ってこんなに面白くてわくわくして自由で美しいものかとひっくり返った作品。サム・メンデス、大天才。

 

『フリーバッグ』もこんなに面白いことある?とひっくり返った。この作品を作って演じるフィービー・ウォーラー=ブリッジ、大天才。この後ドラマも2シーズン見たのだけど、どちらも大好きな作品になった。世界中でこういうしょうもない女の作品がもっと増えるべきだよ
『プレゼント・ラフター』は2023年現在のマイベストNTLiveに君臨しています。好きすぎて初めて2回見た。アンドリュー・スコットが演技が上手いことなんて知ってたけど、それでも腹立たしくてかわいくてくちゃくちゃでいじらしいギャリーを演じるアンドリューはたまらないですよね……大好きすぎる……。あと幕間でWill You Love Me Tomorrow?が流れてきて悲鳴あげちゃった。私はこの曲を聞くと泣いてしまうので……。
シラノ・ド・ベルジュラック』も2020年にロンドンで見たので、日本語字幕付きで見られて本当に有難い……!ラストは戯曲の方が好みなんだけど、バルコニーのシーンが好きすぎる。ジェームズ・マカヴォイは本当に本当に演技が上手い、そしてラップも上手い。彼の悲しみの表現が本当に好きで、涙を流していなくても悲しみで満ちていることが伝わってきて、その様子に泣けてしまう。
 

2021年

メディア ✖️
十二夜 ✖️
 
3作品しかやってないの!?それなのに私は見ていないの!?
 

2022年

ブック・オブ・ダスト 
プライマ・フェイシィ 
ヘンリー5世 
ストレイト・ライン・クレイジー ✖️
 
コリオレイナス』の時に絶交していた吉祥寺オデオンとやっと仲直りして『ロミオとジュリエット』で初鑑賞に至る。約10年かかってるよ。舞台として上演するのではなく映像化を前提として作られた作品なので、稽古場から物語への移行やイメージビデオのような演出が新鮮で面白い。
『ブック・オブ・ダスト』NTLの冒険譚にハズレなし!小舟と嵐と波の表現が本当にすごくて舞台って何でもできるんだな!ということも改めて感じさせられた。あと本物の赤ちゃんが出てきてビビり散らかす。静かに演技ができて本当にお利口さん…!
プライマ・フェイシィ』は本当に辛かったけど見れて良かったし、最速で日本に持ってきてくれて本当に本当にありがとうカルチャヴィル!!!!

 

『ヘンリー5世』

 

2023年

オポルトシュタット 
かもめ 
るつぼ 
オセロー 
ベスト・オブ・エネミーズ 
善き人 ✖️
 
『レオポルトシュタット』予習はしていったけどそれでもカバーし切れない一族の物語。今思い返すと本当に言葉にできない。
『かもめ』は『レオポルトシュタット』の反省を生かし、ガッツリ予習しました。

『るつぼ』本当の本当にアーサー・ミラーは最悪!これは彼女たちの反抗であり、最悪な国で暮らしている以上他人事じゃないことが一番最悪ですね……。
 

『オセロー』上下をうまく使ったシンプルなセットに、オセローとデズデモーナにここまでフォーカスしたオセローは初めてで新鮮だった。BLMを思わせる演出があり、常にアップデートし現在を反映させていく姿勢に、物語るとはそうあるべきだよな、と思う。
 
『ベスト・オブ・エネミーズ』ドラマでも映画でもできない、舞台だからこそできる演出に胸が躍る!特に交わることのないホテルの2部屋が重なる様子にワクワクした。私、こういうのが見たくて舞台を見るんだよな。
 
以上、全30作品の爆速振り返りでした!
書くかもと言いつつ書けなかったので改めて発表すると私のベストNTLiveは以下の通りです!
 
第1位 プレゼント・ラフター
第3位 リーマン・トリロジー
 

最後に

こうやって改めて書き出してみると、本当に色々な作品を公開してくれてるんだな……。10年って短くないってことだよ。しかし現地に行かずとも海外の演劇作品を見られる貴重な機会なのでこれからも逃さず追っていきたいと思います。末長くお願いしますカルチャヴィルさん!!

そして次回の担当はトッコノさんです。マカヴォイの『シラノ・ド・ベルジュラック』について書かれるとのことで私も読むのが楽しみです!